盆栽は自然をお手本にしています。でも、ただ自然を模写するのではなく、自然の良いところ・美しいところだけを取り出して、そのエッセンスを凝縮して見せます。
盆栽が他の鉢植え植物と異なるところは、存在感の大きさではないでしょうか。たとえば同じような大きさの観葉植物と盆栽を並べておいてみると、たいていの人は盆栽の方に視線を向けてしまいます。どちらも同じく自然の生き物であり、緑を感じさせる植物なのですが、盆栽のほうが凝縮されたものであるだけに、密度が高く、目を引きつけられるのです。
何が凝縮されているのか? ……これはつまり、時間でしょう。長い時の流れを自然のエッセンスとともにぎゅっと詰め込んでいるからこそ、小さな体の中に、他の植物にはない独特の存在感を備えることができるのです。