枝に針金を巻くこと自体は、さしてむずかしくありません。重要なのは、何のために針金をかけるかです。それが分かっていなと、効果的な針金かけなんて期待できません。
小枝への針金かけは、まず新芽押さえからはじまります。春から夏までの生長期に、グンと伸びてくる新梢の方向を修正する作業です。新芽は太陽の光を求めて上へ伸び出ます。たとえ枝の下側から出た芽でも、やはり上向きに伸びようとします。でも、枝がすべて上を向いているようでは老木の姿が出せません。そのため、新梢の枝元を下げ、さらに上下左右に模様を入れて、盆栽らしい枝にするのです。
枝元が太くなると思ったように下げられなくなるので、まだ新梢がやわらかい生長期の内に針金をかけます。勢いの良い新梢を伏せることで、樹勢を抑制する効果も生まれます。フトコロへの日照・通風条件が良くなり、胴吹き芽が吹いたり、小さかったフトコロ芽に力を付けたりもしてくれます。
ただし、生長期は太りが早いので、かけた針金がすぐに食い込みはじめてしまいます。うっかり見逃していると、後に残るくらいの食い込み傷を付けてしまい、見苦しい枝となるので要注意。