利き枝は樹形構想の重要項目の一つです。利き枝の位置や大きさなどによって、樹形のバランスが変化します。
たとえば立ち上がりが左に傾いた樹に、左へ長く伸びる利き枝を配置すると、左流れをより強調することができます。その利き枝を幹の中段あたりに配置すれば、より樹の動きが高まるでしょう。
利き枝は樹の重心を決定づけるものと考えた方が分かりやすいかもしれません。あくまで感覚的なものにすぎませんが、重心をどこに持っていこうかと考えることで、今まで煮詰まっていた樹形構想が明確になってくれることもあります。
基本的に鉢の真ん中、根張りの中央を垂直に横切る線上に重心があれば、樹はしっかりと安定して見えます。重心が鉢の縁に近くなれば、安定度が低下する代わりに動きや流れが強調されます。鉢の外に重心があれば、不安定に感じる反面、樹の動きも激しく感じさせることができます。懸崖(けんがい)や半懸崖、吹き流し樹形などがその例です。