理想的な下枝の位置は、模様木の場合で樹高の約3分の1の高さ、直幹で4分の1の高さなどといわれています。
逆に言えば、下枝の高さを3倍から4倍にしたものが理想的な樹高ということになります。もちろん樹高はこれだけで決定づけられるものではありませんが、安定感のある樹形をつくる際の一つの目安にすることはできます。
一番下の枝から順に、左右交互に枝が出て、上に行くほど枝と枝の距離が狭くなるのが理想的な枝順です。しかも模様木なら、それらの枝が曲の外側から出ていて、下枝ほど太く力強いというのも基本形の1つです。
これらの点をすべて備えているような理想的な素材はそうそうあるものではありませんが、こうなっていれば素晴らしいという知識だけは持っておきましょう。その上で素材を手にしたとき、最初に「変えられない部分」と「変えることができる部分」に分けて長所・短所を検討してみます。
たとえば、立ち上がりの角度は植え付けの変更で変えることができますが、立ち上がりの幹模様は、よほど過酷な改作でもしない限り変えることができません。いらない枝は切ればなくなりますが、ほしいところに枝をつくるというのは、なかなか困難です。細かいところは時間をかければ太らせることもできますが、太くなってしまったところを細くすることはできません。
こうした現状を細かに分析し、樹の持ち味をそのまま生かすところと、枝を切るなどの作業が必要なところを決めていきます。