自然環境であれば落葉や動物の糞尿などが肥料の代わりとなるが、鉢植えの樹はこうした養分が得られない。
植物の生長に必要な元素は17種類で、その中から酸素・炭素・水素を除く14種類が根から吸収されます。この吸収される元素で最も重要視されるのが窒素・リン酸・カリの3元素。なかでも窒素はタンパク質やアミノ酸の主成分であり、DNAを作るのに重要な役割を担っています。
これら必要な元素のうち、水や空気から得られる3元素(炭素・酸素・水素)以外のものは、通常の土壌に元々備わっているものですが、盆栽は清潔で無肥料の用土を使用するので、土にこうした必要な元素が充分に備わっていません。自然環境であれば動物の排泄物や落葉などが養分となって植物に必要な要素が形成されるサイクルが成り立っていますが、手入れされた鉢物は自然に養分を得ることができず、また限られた空間ゆえに養分を蓄える量も限定されます。そのため、外部から継続的に養分を与える必要があるのです。これが肥料を与える理由であり目的です。