表土の上に置いて使う玉肥は、毎日の水やりで肥料分が溶け出して鉢内に浸透していく。
園芸でよく用いられる堆肥は、長期間にわたって安定的に肥料分を供給することでできないので、盆栽で使われることは少ない。
盆栽は芽つみや剪定、葉刈りなど、生長期を通じて新梢の生長を抑制し、二番芽の芽吹きを促して小枝の充実を図る培養を行ないますから、肥培は一時的な効果を得るものではなく年間を通じて安定的に肥効を得るタイプの肥料が適しています。
また盆栽は、2年から長いもので4〜5年は同じ用土で培養されることが普通です。従って用土の中に肥料を混ぜる「元肥」方式の肥料を主体に使うことは、安定した肥培効果を持続させるという点で難しいと言えるでしょう。開花・結実を高めるためにリン酸を多く配合した肥料を元肥として混ぜることはありますが、それでも生長の促進を目的とした通常の肥培は、表土の上から少しずつ溶け出す「置き肥」方式が適しています。肥料独特の臭気がなく扱いも容易な化成肥料や、水やりと同時に使うことができる液肥も利点は多くありますが、肥培管理に慣れるまでは油カスの玉肥を選択する方が無難です。