3.偶然生まれた「平成の渋草柳造鉢」
盆栽界に古く伝わる渋草焼盆器。六代柳造氏が古書で見たのもおそらくこの形式で、この鉢足の「型」が柳造窯に伝わっていた。
渋草柳造 染付/色絵雨龍図丸鉢(左:12.1×5.5㎝)
平成初期の作。いずれも陶器で、細かく描き込まれた絵の精緻さが際立つ。
渋草柳造 絵付丸鉢
平成20年頃制作の盆栽鉢で、上から2寸5分、3寸、4寸。いま盆栽界で流通するのはこの頃の鉢が最も多いだろう。
3.偶然生まれた「平成の渋草柳造鉢」
六代と盆栽鉢の出会いは、古い本で見た渋草柳造盆栽鉢の写真でした。足の形が印象に残り、同じ頃に工房内を整理していて偶然それと同じ鉢足の「型」を見つけました。工場の隣に盆栽愛好家がいて、その人と話したり使われ方を見ながら、遊びの感覚で作ったのが第一号。たまたまそれが地元盆栽園の目に止まり、同型鉢の発注を受けたのです。これが平成初期の頃。以後、幾度かの受注により、六代渋草柳造の盆栽鉢が生み出されます。現在流通する渋草柳造鉢のほとんどがこの時代のものでしょう。