新芽が動き出す直前の今が 取り木 をかける適期です。 実生 や 挿し木 よりも太い部分、古い部分を取ることができるため、その後の樹づくりが早いというのが最大の利点です。幹模様の一番いいところだけを取り出すことができるのも魅力ですし、うまくいけば理想的な八方根張りを作ることもできます。
取り木 は、葉で生成された養分が降りてくる道を遮断し、そこに カルス という生長細胞を発生させて根を出させる作業です。養分の通り道は樹皮と木質部の間にはさまれた薄い層で、これを 形成層 と呼びます。取り木を成功させるためには、この形成層を確実に分断し、その後発根までの間適度な湿度を保つことがポイントとなります。
取り木 をかける前には、まず十分な 樹勢 をつけておかなければなりません。また、仕掛けたあとは 取り木 位置より上で光合成活動を行なえるように、日の当たる場所に樹を置きます。
取り木 位置より下の活動は低下するので、親木の鉢土は以前より乾きが悪くなります。 取り木 部位の水やりに熱心になるあまり、親木に水をかけすぎて 根腐れ を起こし失敗するケースもよく見かけられるので、水管理には十分な注意が必要です。
雑木類だとだいたい1~2ヶ月くらいで発根します。
順調にいけば夏から秋口くらいには覆ったビニールの下から白い根がのぞいてくるので、秋、または翌春に切り離して独立させます。