夏から秋へと移行する時期です。9月中はまだ西日が強く、水がよく乾きます。でも朝夕は日増しに気温が下がり、涼しい風が吹くようになります。
このころは人間でも体調を崩しやすく、気候の変化に自律神経がついていきにくいという状況になります。植物の方はよくしたもので、おそらく人間よりも敏感に季節の変化をとらえ、秋、そして冬の準備に入ります。でも、夏越しがうまくいかなかったり体力不足の樹は、徐々に水の吸い上げ力が弱まったりします。
ですから弱った樹の出す注意信号を見逃さず、日陰に取り込んだり、乾燥具合に合わせた水やりをしなければなりません。特に水切れなどで根を傷めてしまった樹は、水をやりすぎると根腐れてしてしまうので、葉水主体の潅水に切り替え、用土の表面が白く乾くのを確認してから、たっぷりと 根水 を与えるようにします。
9月〜10月の管理レシピ
バラ科の樹種は、大根を切断するとそこから根頭がん腫病という病気に冒されやすいので、病菌の活動が活発な春よりも、病菌の活動の少ない秋に植え替えるほうが一般的です。長寿梅やぼけが有名ですが、そのほかにもピラカンサや野ばらなどたくさんのバラ科樹種が秋に植え替えできます。
樹種別作業・管理ポイント
花後に吹いた二番芽がたくさん増えている頃です。下向きに伸びたり逆向きに走った芽は、9月から11月の間に処理しておきます。また、不要な芽を残しておくと風通しや日照が悪くなるので、強すぎる芽や小さすぎる芽をすかして、フトコロの環境を改善しておきます。同時に針金をかけて小枝の方向を修正することもできます。ただし作業後に休眠期がやってくるため、樹勢の弱った樹は春まで作業を見送った方が安全です。
10月に入ったら、フトコロ芽の維持と芽力の調整をかねて、古葉を取ります。黒松のように葉を引っ張って抜くと樹皮を傷めることがあるので、ハカマの少し先でハサミを使って切り取ります。残ったハカマはいずれも自然に落ちてくれます。
黒松 | 二番芽が開いてかたまったら前年葉をすかして樹勢を調節する |
五葉松 | 9月に前々年葉を落とし、10月に前年葉を切り落とす。針金かけ可能 |
真 柏 | 9月いっぱいで芽つみを終え、その後吹く芽で冬を越す |
蝦夷松 | 残暑が残る間は西日をなるべく避け、風通しのよい場所に置く |
赤 松 | 9月下旬から10月前半にかけて古葉をすかす |
杜 松 | 10月初旬に最終芽つみを終え、その後に吹く芽で冬を越す |
杉 | 9~10月は若木の剪定適期。完成木は9月下旬に最終芽つみ |
山もみじ | きれいに紅葉させるには、肥料を切り、朝夕の寒さに当てること |
楓 | 秋の肥培。外周部の大きな葉は葉刈りしてもよい |
けやき | ごく強い枝や長い枝を剪定するくらい。肥料は控えめ |
ぶ な | 強い不定芽が伸びることがあるので、不要なら早めに切り取る |
いぼた | 実を確認して徒長枝の切りつめ |
梅もどき | 実を確認しての徒長枝の切りつめ。不要なヤゴ芽は早めに処理。鳥害注意 |
かりん | 肥培に力を注ぐ。水切れ厳禁 |
ピラカンサ | 秋の植え替え。徒長枝の切りつめ |
姫りんご | 秋の植え替え。結実したものは水切れ厳禁 |
つる梅 もどき |
鳥害注意。水切れ厳禁 |
老爺柿 | 肥培。不要なヤゴ芽は早めに切除 |
まゆみ | 水切れ厳禁 |
くちなし | 水切れに注意。消毒の励行 |
きんず | 水切れに注意。しっかり肥培して日に当て、冬越しに備える |
美 男 かずら |
水切れ厳禁。肥培しておかないと花の雌雄に片寄りが出る |
さつき | 秋の剪定。消毒励行 |